【外国人の静岡観光レポート】伝統工芸品の駿河竹千筋細工を体験

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【外国人の静岡観光レポート】伝統工芸品の駿河竹千筋細工を体験

竹を使ったザルやかごなどは、静岡市で古くから作られていたそうです。中でも、精巧な作りが美しい「駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)」は江戸時代に発展、今でも静岡市の特産品のひとつで、伝統工芸品の指定を受けています。駿府匠宿の体験メニューで、花器づくりに挑戦しました。

私が体験しました!

バンダラ ラットナヤカ ムディヤンセラゲ イシャーラさん

スリランカ出身。2016年4月に来日。現在は静岡英和学院大学人間社会学部の2年生。静岡で好きな場所は三保松原。日本の伝統建築が好きで、神社やお寺にも出かける。


静岡の伝統工芸が体験できる駿府匠宿

今回体験をする「駿府匠宿」は、静岡市駿河区丸子というところにあります。山が近く、景色がきれいで静かな場所です。施設の中にはおみやげの売店もあり、静岡のお茶やお菓子、伝統工芸品が並んでいます。私が訪れた時は、かわいらしいひな人形も並んでいました。


ここが竹千筋細工が作れる体験工房です。建物の前には竹が植えられていて、日本らしい佇まいです。入り口の看板には「竹染工房」と書かれていました。この中で竹千筋細工と、木工製品を作る駿河指物、駿河和染という藍染などの体験ができます。スリランカにもバティックという藍染がありますが、日本のものとはデザインが全く違います。日本の藍染にも興味が湧きました。隣の建物には陶芸体験の工房もありました。


体験工房の正面玄関を入ると、舞台があります。ここでは土・日曜日に、伝統工芸の職人さんが実演をしている様子を見ることができます。竹千筋細工のランプがきれいでした。


体験をする前に、どの作品を作るか選びます。小さなものでは20~30分くらいで、竹の数が多くて複雑なものでも60分くらいで作れるそうです。必要な時間と料金が書かれているので選びやすいですよ。私は、「花器 さがの」を選びました。体験料金は2270円、体験時間の目安は30分です。


繊細な駿河竹千筋細工で花器を作る

いよいよ作品作りです。パーツは揃っているので、体験ではこれらを組み立てていきます。作り方は、工程ごとに順番に教えてもらえるので、とてもわかりやすかったです。細い棒のようなものは「竹ひご」で、柔らかい感触でした。竹ひごの片方は少しカーブしていました。


これが竹ひごを作る道具です。穴の内側で竹が削れるようになっていて、細く切った竹を、大きな穴から小さな穴に順番に通すことで、好きな細さにしていきます。竹千筋細工では、直径1.3~1.6mmの竹ひごがよく使われています。竹ひごを曲げる時は、温めながら少しずつ曲げていくそうです。職人さんの仕事は忍耐がいりそうですね。
丸い竹ひごは、静岡竹細工の特徴です。昔、鳥かごを竹で作っていた頃、中にいる鳥が傷つかないように丸くなったと言われているそうです。


花器は花瓶を入れる口の部分と、底、サイドの竹ひごでできています。作る時は、上下を反対にして作ります。まず、口になる輪っか状の竹の穴に、4か所、竹ひごのまっすぐな方を差し込みます。この竹の輪っかは、竹を輪切りにしたものではなく、細長く切った竹を曲げてつなげてあります。このつなぎ目をつなぐ「継手(つぎて)」も、駿河竹千筋細工の独自の技法だそうです。
竹ひごは輪っかの上下左右に1本ずつ差すのですが、私は隣りに並べて差してしまい、すぐやり直しました。


次に、底になるコースターのようなものに、同じように4か所、竹ひごを差します。ここでは、竹ひごの曲がった方を差し込んでいきます。この底には竹が編まれていますが、これは「網代(あじろ)」という、日本の伝統的な編み方です。


先に差した竹ひごの穴と、上下の位置が同じ場所になるように調整します。これをきちんとやっておかないと、後で直すのは大変なので、慎重に確認しながら、ゆっくりとやりました。


4か所の竹ひごが固定できたら、今度は3つずつ穴をとばしながら竹ひごを差し込んでいきます。この時はまだ上下の輪っかが安定しないので、底になる部分を手でしっかり押さえて作業をします。最初はうまく差し込むことができなかったけれど、慣れてきたらスピードも上がってきました。一回り差し込み終わったら、すべての穴が3つずつの間隔であいているかを確認します。ちゃんとできていました。


ここまできたら、あとはすべての穴に竹ひごを差し込んでいくだけです。最後に、竹ひごの根元にボンドを塗って完成です。ボンドは筆を使って塗りますが、少しくらいはみ出しても大丈夫。はみ出したところは、濡れ布巾できれいに拭けばOKです。


無事に出来上がりました。教えてくれた八木さんと記念撮影です。私達が体験するのは、竹ひごを差す工程だけですが、実際は、材料の竹から竹ひごを作って仕上げるまでの9工程を、職人さんが一人でやるそうです。
出来上がった作品は、そのまま持ち帰ることができます。さっそく、花を生けてみたいです。


感想

日本の伝統工芸は大好きです。見たことはあったのですが、体験するのは今回が初めてでした。本当に良い体験になりました。やり始めた時は、ちょっと難しく感じたけれど、竹ひごを差し込むことにも慣れてきて、順番に差し込みながら完成した時には、きれいな仕上がりでとても嬉しかったです。
駿河竹千筋細工を見た時に、スリランカの工芸品を思い出しました。使っている竹の種類や大きさは違うけれど、似ている部分もあったのでびっくりしました。また、日本の藍染にも興味が湧きました。次は藍染にも挑戦したいです。


information

●施設名/駿府匠宿
●住所/静岡市駿河区丸子3240-1
●電話/054-256-1251
●営業時間/9:00~17:00(7/20~8/31は~18:00)
※体験受付締切は閉館の1時間前。所要時間は体験メニューにより異なる
●休館日/無休(12/30~1/1は休み)
●入館料/入館無料。体験料金はメニューにより異なる

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