【外国人の静岡観光レポート】真っ黒なつゆでじっくり煮込んだ静岡おでんを体験

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【外国人の静岡観光レポート】真っ黒なつゆでじっくり煮込んだ静岡おでんを体験

静岡のご当地フードの代表格といえば、静岡おでん。真っ黒なつゆが特徴のおでんは、お酒のつまみだけでなく、ご飯のおかずや子どものおやつとしても食べられます。昼と夜、ふたつのお店で、静岡おでんの魅力を体験してきました。

私が体験しました!

金 冬致(キン トウチ)さん
中国・上海出身。
来日3年目の28歳。静岡文化芸術大学デザイン学部で、設計やインテリアなどをトータルに学ぶ、建築デザインを専攻する2年生。


初体験は老舗の“駄菓子屋系おでん”「おがわ」で


今回は、静岡おでん初体験の新鮮味が増すよう、何も調べずに来ました。1軒目に伺った「静岡おでん おがわ」は、70年近く続く老舗。静岡駅から徒歩15分くらい、静岡浅間神社近くの「静岡浅間通り商店街」にあります。
私は、おでん専門店や屋台でおでんを食べた経験はないけど、ドラマやテレビ番組でよく見たことがあり、おでん屋さんがどんな感じかはだいたいわかっているつもりでした。でも、実際に店に着いたら、びっくりしました。ものすごく昭和の日本の感じが残るお店でした。


中に入ると、またびっくり。「え…え…なにこれ?黒いおでん?噓でしょう?まさか醬油煮?」と、すごく疑問だらけに。「静岡のおでんは牛すじでダシをとって、調味料はしょう油だけ。色が黒いのが特徴なんですよ。うちのおでんつゆは70年間継ぎ足しで使っています」と、店のお母さんに教えてもらいました。
何となく不思議な感じです。私は小学校の時、学校の隣にあったローソンで初めて日本のおでんを食べました。あの時の美味しさは一生忘れられませんが、今日の黒い静岡おでんの衝撃も、私の記憶にずっと残りそうです。


おでんのことを関東煮とも言いますが、静岡おでんとの違いをいろいろ発見しました。つゆだけでなく、食べ方もずいぶん違います。関東煮はつゆを飲みながら食べます。静岡おでんは、つゆから出して、青のりとだし粉と呼ばれる魚粉をかけて食べます。


「おがわ」の店内には、静岡おでんの五箇条も貼ってありました。なんだか教義みたいで、静岡おでんへの敬意をすごく感じました。


いろいろお話を聞いて、いよいよ静岡おでんを食べます。まずおすすめされたのが、静岡おでんの看板メニュー、黒はんぺんと牛すじです。他には、自分が大好きな糸こんと大根も選びました。
日本の牛すじは、アキレス腱ではなく精肉に近いものが多いです(ここは中国の牛すじのイメージと少し違います)。3~4時間下ゆでして柔らかくしたものを、おでんのつゆで2時間くらい煮込むそうです。とても柔らかく味も染みていて、口の中に入れると、すぐ溶けてしまいました。


黒はんぺんは、焼津市の製造業者から特別に仕入れているもの。イワシのすり身が原料で、新鮮な魚の味は一口食べただけでもすぐわかります。これを牛すじのダシが出たおでんつゆで煮込むので、海鮮と肉の両方の旨みが味わえます。糸こんはつゆの味をたくさん吸収していて、噛むと口の中につゆが溢れました。大根もよく煮てあるので、大根の甘味も苦味も感じられて、関東煮では体験できない味だと思います。


店のお母さん、小川光枝さんは、本当に優しくて親切でした。いろいろ聞くと、何でも教えてもらえます。「おがわ」は、昔は駄菓子も売っていたという歴史や、静岡ではおでんを朝ご飯のおかずとして食べる話も教えてくれました。


店には、外国人にも対応できるように、英語での説明も用意されています。みなさんも、ぜひ一度行ってみて、食べてほしいです。


おでん屋さんが集まる横丁で、屋台の雰囲気を楽しむ


日が沈んだら、今度はお酒を飲みながらおでんを食べるお店に行きました。「おでんや おばちゃん」は繁華街の一角にある青葉横丁の中にあるお店です。すごく短い通りだけど、おでんを出す居酒屋だらけです。お店の入り口には赤い提灯を掲げていて、あたたかいオレンジの光はまるで「今日一杯飲もうよ?」と誘っているようです。


店内はカウンターのみで10席くらい、店員もお父さんとお母さんの二人だけです。他の国の人はどう思うかわからないですが、中国人の私から見れば「これはまさに日本の居酒屋だな」という感じです。


小さくてあたたかい空間、何でも話せる親切なおじちゃんおばちゃん、ここに座れば、一日の疲れもすぐ忘れてしまいそうです。


外国人の観光客にも対応するために、写真付きの外国語のメニューもあります。席に置いてある紙に、鉛筆で番号を書いて渡せば、スムーズに注文できます。おでんだけだと思ったけど、メニューを見たら、揚げ物やおつまみもありました。もう一つすごく嬉しいことに、この店はお通しのシステムがないので、注文分だけお金を払う、わかりやすい会計で安心です。


居酒屋に来たら、やはりお酒を飲みたくなります。すすめられたので、静岡割りを注文してみました。普通は「お茶割り」といいますが、静岡では、焼酎を静岡産のお茶で割るので、こう呼ぶそうです。「おばちゃん」では、掛川の深蒸し茶を水出しにして使っています。お茶の甘味と焼酎の辛みが混ざり合っていて、すごくうまいです。


おでんの注文は居酒屋の雰囲気に合わせて、内臓三昧にしてみました。
まずは「ふわ」(牛の肺)を食べます。ふわは名前の通り、ふわふわした食感で、「スポンジ」とも呼ばれるようです。人生で初めて牛の肺を食べましたが、これはとても印象に残りました。「しろ」は豚の大腸で、下ゆでして柔らかくして味も染みています。しろの風味は、静岡割りとの相性がすごくいいと思います。「がつ」は豚の胃袋。歯ごたえがあります。これは、出てきたらすぐに食べたほうが、汁気もあって美味しいです。


静岡おでんで外せない黒はんぺん。ここではフライがあったので注文してみました。揚げたての衣はサクサクしていて、おでんとはまた違った味わいです。好みでソースをかけたり、からしを付けて食べます。


お店に置いてあった、富士山のかぶり物と箸袋のおみくじです。これもめちゃくちゃ面白いと思います。普段あまり自撮りが好きではない私も、我慢できなくて、たくさん撮りました(笑)。やはり、富士山は日本のシンボルとして、人を惹きつける魔力(?)みたいなものがあります。箸袋のおみくじも初めて見ました。「お味くじ」と書いてあります。面白いですね。


神社ではなくても、ここもご縁が結べる場所だと思いました。その証拠に、隣に座ったお客さんとも話をしながら、一緒にお酒を飲むことができました。おみくじには、おすすめのラッキースポットも書かれています。今度行ってみよう。


感想

初めて見て、食べた静岡おでん。真っ黒なつゆには驚きましたが、牛すじと、魚で作られる練り物という具材から出るダシの旨みがたっぷりで、とても美味しかったです。おでんというと、やはり夜の居酒屋で食べるイメージが強いのですが、静岡では昼間でも食べられます。また、「おがわ」のようなお店では、かき氷と一緒に食べると聞いて、これも静岡の文化なのだなと、いっそう興味が湧きました。次はその食べ方に挑戦してみたいです。

「おばちゃん」のある青葉横丁は、昔、屋外にたくさん並んでいた屋台を集めるために作ったそうです。近くには「青葉おでん街」もあります。こういう小さな店は入るのに勇気がいりますが、初めてのお客さん同士でも仲良くなれるところが魅力だと感じました。


informtion

●店名/静岡おでん おがわ
●住所/静岡市葵区馬場町38
●電話/054-252-2548
●営業時間/10:00~18:30(おでんの具がなくなり次第閉店)
●定休日/水曜
●メニュー/おでん1本90円~。おにぎりや飲み物等の販売もあり

【静岡おでん おがわ 】スポット情報はこちら

information

●店名/おでんや おばちゃん
●住所/静岡市葵区常磐町1-8-7(青葉横丁内)
●電話/054-221-7400
●営業時間/16:00~22:00(L.O.21:30)
●定休日/日曜、年末年始
●メニュー/おでん1本108円~。揚げ物やおつまみもあり

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